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京都市在住の黒パグ・ほしみ(H18年2月3日生れ)と台湾人のダンナ氏と宮崎生まれのこぱぐ、それから実家・宮崎にいる元・捨てパグ犬(フォーン) ももの話など☆


by kopug
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台湾のお葬式事情

台湾3日目。
今日は昨日の疲れもあって、バタンキュー。。。

日本の仏式系には、遺族側・参列者側などで何度か参加したことがあるので、〝お葬式初体験〟ではなかったのですが。
葬儀→火葬という、ざっくりとした流れは一緒だったのですが…。
正直、ここまで違うとは思いませんでした。



中国語が読めないという理由で加われなかった午前中は、7時頃に集合。
全体的に茶系の暖色で統一された、上品な雰囲気の漂うビルの某階にて、それは行われ始めました。
お坊さんの指示のもとお経を読んだり、走ったり、歩いたり、壺を割ったり、お札を燃やしたりすること4時間半。。
参加したダンナ氏従姉妹のNちゃんいわく、
「病気で亡くなった故人の体から、病を取り去るための行事みたい」
だそうで、お昼頃の儀式終了時に、ダンナ氏ママ(クリスチャンのため不参加)とダンナ氏、それから私のメンバーが到着したときは、親戚のみなさんヘトヘト状態。
これほどの儀式ではないものの、お経を唱えるということは亡くなった10月末から何度かに渡って行われていたらしく、かなり色濃い疲労が漂っていました。
送り出す方も、大変なんですね。。。

それから、儀式のことやこの後のお葬式のことなどを尋ねたりしつつ、ご飯を食べ、お茶を片手に休憩を挟んだあとは、それまで儀式を行った建物にサヨウナラ。
道路を挟んでお向かいの建物に移動しました。
色とりどりのレンガを乗せた屋根は、いかにも台湾のお寺という感じ。
けれど、ここが葬儀場らしく。
ここで黒くない服を着ている遺族には、黒い衣装が渡されます。長方形の中央にあいた穴から頭を入れ、すっぽりとかぶって腰のあたりで左右、それぞれ1つずつの紐で結ぶデザインです。
…というのも、台湾には喪服というものがなく、黒系の普段着で行うのが主流みたいで、私も今回、それに習って普段着プラスアルファ程度のものを用意していっていました。故人の子供世代には、これに白の麻布(のような素材?)のポンチョをかぶるとかの掟があったようですが、ダンナ氏親戚の方は、
「今では簡略化して、肩にその切れ端を安全ピンでとめているのよ」
と教えてくれました。
”切れ端”と言っても、さすがに本当にそうではなくて、ちょうどタバコ箱の側面くらいの大きさにきちんと切り取られたものでしたが。


さて。
遺族の出で立ちも整ったことで、いざ、会場へ足を踏み入れます。
玄関から踏み入れた最初の空間が、いわゆる葬儀を行う場所で、椅子も脚まで届く白カバーをつけられたものが左右に20脚ほどと、それほど広い印象は受けません。
でも、正面を見て。
祭壇の両端に、人がすれ違うことが出来るほどの通路が作ってあったり、祭壇の上に菩薩様がいらしたり、その周りを白百合と薄いピンク色の薔薇にグリーンをアクセントにした献花が並んでいたり。
そんなさまざまな違いの中で、私は決定的なものを見つけました。
それは…。
『棺が……ナイ!』
そう。
日本では祭壇前にあるはずのそれが、どこにも見当たらなかったのです。
『ど、どこにあるの? どこにおられるの?』
あまりあちこち見回すのも不躾だとは思ったのですが、疑問はなかなか頭から出て行ってくれなくて。
そうこうしているうちに、遺族一同は司会らしき方に導かれて、喪主を先頭にした列の末端について祭壇左手の通路を進み始めました。
すると祭壇裏手に、隣の棟へと続く廊下があり、そこに居並ぶある一室までたどり着いたとき。
「!」
白布を全身にかぶってストレッチャーにのせられた故人が連れて来られ、その方を先頭にして列が動き始めました。で、故人とは祭壇の裏で別れて、私達はもとの場所へ。(この先、遺族やお坊さん、それから葬儀社以外の方と対面されることはありませんでした)
…で、我々もどこかに着席するのかと思いきや、祭壇前に男女別でハの字になって立ち続けることになりました。その間、約2時間。
気になった棺ですが、どうやらその直後に葬儀社の方が納棺をすませてくださった模様。それから出棺まで、正面に出てこられる事はなく、ずっと祭壇裏にあるドアのない小部屋のようなところに控えておられました。その後、私達、遺族は時間の経過とともにお坊さんに導かれて、そこと祭壇前を何度か行ったり来たり、あと、ひざまづいて床に額をつけるような形で、祈りを捧げたり。
そんなことを繰り返す中、ご焼香してくださるお客さまにお辞儀したりしていました。

で、そんな中で驚いたことが、また1つ。
司会の人が何でも仕切ってくれるんです!!
ご焼香の順番(主に会社別、関係別などでひとかたまりで呼ばれて、その代表のみが焼香する)も、それにつながる一連の動作(お辞儀など)も、全部、指示してくれるのです。なので、初参加の人もおそらく大丈夫。
もっとも、中国語のわからない私にとっては頼れるはずもなく、いつも他の人の動きを見て真似してばかりいました。
初心者って、大変ですね。。。
ちなみに弔問客の方々は、あらかじめ招待状で呼ばれた方が大多数で、衣服は明るくない、もしくは単色の控えめの普段着がメインだったように見受けられました。そしてご焼香と祈りを捧げたら、遺族に挨拶をして全員が全員、帰ってしまいました。(これもちょっとビックリ)
なので、出棺は遺族のみ。
それもゆっくりと進む仏式の霊柩車(これは日本と大差なし。左側面に遺影を置き、外から見えるようにしている以外は)を遺族が歩いて着いていき、敷地外へ見送るという形になっています。

ちなみにそれ以外の、葬儀などでの相違点を挙げますと。。。

①棺に故人の遺品を入れない(紙のお金や、召使や執事となる男女の人形など、伝統的に意味のあるものしか入れない)
②出棺した霊柩車は、いったん敷地外で停車して遺族が車に乗って全員が出発するのを待っている
③遺族が乗る車は、遺族のものとは限らない(私達はお坊さん運転の車に乗せてもらいました)
④火葬場の入り口に、大きな大きな電光掲示板がある(ここに故人の名前と、利用するゾーンの番号が表示されています。読めないから、どれが親戚の方のかわからなかったけれど)
⑤火葬場にはいくつかの葬儀場ゾーンもあり、そこで一連の儀式を行うこともできる
⑥火葬場について最後の祈りを捧げる場所は明るく、複数の人が同時に使えるようになっているため、多くの宗教の遺族たちと出くわすし、慌しい
⑦最後の祈りに、遺族が一人ずつイベント用のスモーキーカラーの風船を持ち込むケースもある(供養のため?それとも何かの宗派?)
⑧ボタンは遺族は押さない。係の方が押し、逝ってしまうまでの間に遺族は床にひざまづき、前を見据えて「戻ってくるなよ」とか「菩薩様にちゃんと着いていけよ」などと伝統にのっとった言葉を台湾語(中国語ではない)で叫び続ける。
⑨遺影は最近に撮られたものとは限らない。基本的にその人が一番素敵だった頃のものが多いらしい。ちなみに故人の場合は20年前のものとのことでした。
⑩葬儀前後に故人との血縁により、殺生を慎まなければならない時期がある。(要するに肉を食べちゃダメってことですね)

この他にもいろいろありますが、話し始めたらキリがないのでこのへんで。

それにしても、当日の…しかも途中参加でこんなに付き従うことがあるとは…。物心ついてから、畳ではなく、床に手を着いて土下座に近い格好をすることなんてなかったので、正直、最初の方では少し抵抗がありました。
儀式なのだからと、ちゃんと出来る範囲内で礼節は尽くしましたが、ちゃんと出来ていたかな。そうでなかったら、ちょっと心配。。。

今回の方は大往生を遂げられたということもあって、それほど湿っぽくもなく……皆がそれぞれに優しい眼差しで送り出しているのが印象的でした。
面識がない方なので、どんな人生を歩んでこられたのかは存じ上げませんけど…。

というわけで、以上、台湾のお葬式についての話でした。
台湾式に興味がある方や、少し前の私みたく、台湾のお葬式についてわからなくて困っている方々の参考になれば幸いです。

お読みくださり、ありがとうございました~。

さてさて、明日は普通の台湾日記になると思いますので、よろしければまた来て下さいね~。
では~。
by kopug | 2008-11-13 01:17 | ちょびっと台湾(^0^)